風立ちぬ
宮崎駿『風立ちぬ』を観る。
かつて、日本で戦争があった。
大正から昭和へ、1920年代の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代だった。
そして、日本は戦争へ突入していった。当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?
イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化した零戦の誕生、薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。
この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く・・・。
メモ。
風の描写への執着。髪、草木、煙、帽子、紙。
美術の美しさ。背景の域を超え、絵画としてのマチエールの中に、登場人物が迷い込んだように見える。
映画として、堀越二郎として、宮崎駿として、傲慢だが、飛び切りの才気を感じさせる。
潔さは、瞬間的な情動を生む。もちろん削がれるものも多い。そこには狂気が生まれる。
過去のジブリ作品の“記憶”が、折り畳まれて、そちこちに見える。