2015年、春の京都のイベント

 2015年の春の京都では、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭」を中心に、文化芸術イベントが多数開催されている。
 あまりに多くてよく分からなくなってきたので、伊東宣明さんのまとめに倣って、自分用に整理してみた。



 2015年春の京都イベントまとめ.doc 直
 2015年春の京都イベントまとめ.pdf 直


 ※ファイル形式が違うだけで、二つとも同じ内容です。

ユーラシアを探して

予言と矛盾のアクロバット レクチャー
「SEARCHING FOR EURASIA−ユーラシアを探して」


日時:2014年8月23日(土)15:30開始
場所:京都芸術センター・和室「明倫」
   (京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
   http://www.kac.or.jp/
料金:500円 ※予約不要
企画:原智治
共催:京都芸術センター
協力:京都文化芸術コア・ネットワーク,東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス


ヨーロッパ(Europe)とアジア(Asia)は、異なる二つの文化ではなく、一つの大陸文化ユーラシア(Eurasia)である。そう考えたヨーゼフ・ボイスナム・ジュン・パイクは、1963年から生涯を通じ、「ユーラシア(Eur-Asia)」と呼ばれる作品シリーズに取り組んだ。
彼らは、キリスト教世界とその東方に位置する世界を、また、第二次世界大戦イデオロギーによって分裂した「西」と「東」を、一つの「ユーラシア」として融合させようと試みたのだった。


今夏、ベルリンで活動する新進気鋭のキュレーター・渡辺真也を京都に招き、レクチャー「SEARCHING FOR EURASIA−ユーラシアを探して」を開催する。
渡辺は、ボイスとパイクの構想した「ユーラシア」を実証すべく、2013年、ドイツから日本へと陸路で横断しながらリサーチを行い、ヨーロッパとアジアの文化的連続性を探った。そこで彼は、我々の想像を遥かに凌駕する、多くの連続性を発見した。
日本人のルーツの一つとされるブリヤート人の白鳥神話とボイスの故郷の白鳥神話、モンゴルのシャーマンが降ろした魂が語る元寇の秘話、弥勒菩薩の印から辿るキリスト教イコン、そして京都の奇祭に込められた謎…。


取り返しのつかぬ程までに世界の分断が昂進する現在、ボイスとパイクの「ユーラシア」活動の分析を通じ、失われた繋ぎ目を回復することを試みる。


渡辺 真也 Shinya Watanabe
1980年静岡県生まれ。インディペンデント・キュレーター。ベルリン工科経済大学講師。ニューヨーク大学大学院修士課程修了後、コマーシャルギャラリーのマネージャー経験を経て、キュレートリアル活動を開始。
ヨーロッパとアジアを一つの大陸文化ユーラシアとして融合を試みた「ヨーゼフ・ボイスナム・ジュン・パイクのユーラシア」論を、ベルリン芸術大学博士論文として執筆すべく、2013年、ベルリンから日本へと陸路で横断を果たした。
http://www.shinyawatanabe.net/


予言と矛盾のアクロバット
「予言と矛盾のアクロバット」は、2015年に開催が予定されているPARASOPHIA:京都国際芸術祭を一つのきっかけに、言わば、近未来の祭事に背中を押された格好で、関心を寄せる者たちが勝手に未来の大型国際芸術祭を模索し思索し試作していくプロジェクトである。
それは例えば、こうあってほしい未来を描くことではない。むしろ、そうならないための第一歩を創造してみる。そのためのプラットフォームのようなものだ。更に言えば、映画や小説等に見られる人類の終焉・破局的な未来を、現実に起こり得る可能性のあるものとして捉え直すこと。あるいは成就における祈願のちからを嘲笑しないこと。つまり、アートを通じて予言的なものと向き合い、想像しがたい未来に対して仮説的に備えてみる。そんな実践となるだろう。
http://aaccrroobbaatt.com/


※終了後、交流会を開催予定


https://www.facebook.com/events/296433323863820/


U_web.pdf 直

ワールド・ウォーZ

 マーク・フォスター『ワールド・ウォーZ』を観る。


 その日、ジェリーと妻、2人の娘を乗せた車は渋滞にはまっていた。一向に動かない車列に、これがいつもの交通渋滞でないことに気付くが、次の瞬間、背後から猛スピードで暴走するトラックが迫ってくる。
 全世界では爆発的に拡大する“謎のウィルス”によって感染者は増加し続け、大混乱に陥っていた。元国連捜査官として世界各国を飛び回ったジェリーに、事態を収束させるべく任務が下る・・・。





 ゾンビ映画の最先端。ゼロ年代以降のゾンビものの文法(ゾンビが全力疾走するとか)を踏まえつつ。


 興味深いのは、有事の政治シュミレーションとしても観られるということ。
 国連機関が枢軸となり、重要な役割を果たす。
 韓国で活動しているのは米軍。
 アジアから中東への移動中に、核爆発らしきものが見える。(使ったのはどこの国?)
 イスラエルは壁を築いて安全を確保する。(が、その安全はアラブの歌によって破られる。)
 ロシアの状況は不明。
 ウィルス発生源の一つと思しきインドは“ブラックホール”と形容される。
 イギリス所在の専門機関が道を開き、カナダは比較的安全。

風立ちぬ

 宮崎駿風立ちぬ』を観る。


 かつて、日本で戦争があった。
 大正から昭和へ、1920年代の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代だった。
 そして、日本は戦争へ突入していった。当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?
 イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化した零戦の誕生、薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。
 この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く・・・。





 メモ。
 風の描写への執着。髪、草木、煙、帽子、紙。
 美術の美しさ。背景の域を超え、絵画としてのマチエールの中に、登場人物が迷い込んだように見える。
 映画として、堀越二郎として、宮崎駿として、傲慢だが、飛び切りの才気を感じさせる。
 潔さは、瞬間的な情動を生む。もちろん削がれるものも多い。そこには狂気が生まれる。
 過去のジブリ作品の“記憶”が、折り畳まれて、そちこちに見える。