オパール

 カフェ・オパールのプレオープンへ行く。


 オパールには高校の頃から通っている。もう十年以上になる。
 店では、ソウルやヒップホップを聴きながら、一人でよく本を読んだ。ほかに客のいないときは、タイルを貼った一番大きなテーブルで、ダラダラと本を読んだ。ある日の昼下がりには、僕が本を読み始めてから読み終わるまで、誰も現れなかった。ただ、日が暮れた。
 十年以上になるが、ほとんど店主・小川さんとは話さない。今は挨拶をするが、少し前までは、何も話さなかった。彼はホームページに達者な文章を載せており、僕はそれを通じて、小川さんのことや、店に集まる人たちのことを色々と知った。が、それだけだった。


 自分で稼ぐようになってからは、ちょいちょいビールやホワイトロシアンを飲んだ。夜遅くに走って行って、下の本屋で何冊か本を買い、それらをテーブルに積み上げて、順番に読んだりもした。そのようにして僕は、オパールで多くの時間を過ごした。


 オパールは、去年までは河原町三条のビルにあった。先日、祇園の外れに移り、今日、営業を再開した。


 よいカフェとはどのようなものか、という問いはなかなか興味深い。それにきちんと答えるのは、結構難しい気もするし、実際のところ、僕はこの問いに何か定見をもつことができない。でも、次のようには言える。
 僕はスターバックスが嫌いで、オパールが好きだ。


 京都祇園 カフェ・オパール Cafe Opal