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今日の限界芸術

福住廉『今日の限界芸術』読了。 今日の限界芸術作者: 福住廉,隈千夏出版社/メーカー: BankART1929発売日: 2008/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る

アートマネジメント第十二号

『アートマネジメント研究第十二号』読了。 アートマネジメント系の研究は、領域としては興味があるのだが、なかなかこれというものに出会えない。 全般的に浅い事例紹介にとどまるものが多い。 海外の制度や個別の歴史をまとめたものは、実際的な参考になる…

アートマネジメント第十一号

『アートマネジメント研究第十一号』読了。 元京都芸術センター・アートコーディネーターの井原麗奈さんが寄稿している。 彼女は同誌の第十二号にも寄稿しているほか、同時期に、文化政策研究No.4にも書いている。極めて精力的な活動だ。アートマネジメント…

独立国家のつくりかた

坂口恭平『独立国家のつくりかた』を読む。 現政府に文句があるなら、勝手に独立国家をつくっちゃえばいい。匿名化したシステムとは戦わない。何も破壊しない。ただ、歩きかたを変えること。視点を変えること。そして、思考しつづけること。それだけで世界は…

公共劇場の10年

伊藤裕夫、松井憲太郎、小林真理編『公共劇場の10年』読了。 「劇場」「演劇」「舞台芸術」の公共性とはなにか。これからの劇場は、どのような方向性を模索していかなければならないのか。水戸芸術館から20年。静岡県舞台芸術センター、世田谷パブリックシア…

コミュニティデザイン

山崎亮『コミュニティデザイン』読了。 公園など公共空間のデザインに携わっていた著者が、新しくモノを作るよりも「使われ方」を考えることの大切さに気づき、使う人達のつながり=コミュニティのデザインを切り拓き始めた。公園で、デパートで、離島地域で…

<出雲>という思想

原武史『<出雲>という思想』読了。 明治国家における「国体」「近代天皇制」の確立は、“伊勢”=国家神道の勝利であった。その陰で闇に葬られたもう一つの神道・“出雲”。スサノヲやオホクニヌシを主宰神とするこの神学は、復古神道の流れに属しながら、なぜ…

限界芸術論

鶴見俊輔『限界芸術論』読了。 「芸術と生活の境界に位置する広大な領域、専門的芸術家によるのでなく、非専門的芸術家によって作られ大衆によって享受される芸術、それが「限界芸術」である。五千年前のアルタミラの壁画以来、落書き、民謡、盆栽、花火、都…

滝山コミューン一九七四

原武史『滝山コミューン一九七四』読了。 「東京都下の団地の日常の中で、1人の少年が苦悩しつづけた、自由と民主主義のテーマ。受験勉強と「みんな平等」のディレンマの中で、学校の現場で失われていったものとは何か?そして、戦後社会の虚像が生んだ理想…

マノン・レスコー

アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』読了。 「自分を死ぬほど愛している純情な貴公子デ・グリュウに、賭博、詐欺などの破廉恥な罪を重ねさせながら、自らは不貞と浪費のかぎりを尽し、しかもなお、汚れを知らぬ少女のように可憐な娼婦マノン。プレヴォーは…

マルコム・Xとは誰か?

丸子王児『マルコム・Xとは誰か?−NOIとラップ・ムーブメントの源流』読了。 「ネイション・オブ・イスラム(NOI)とは。イスラムをよりどころとするアフリカ系アメリカ人の民族主義宗教組識(1930年結成)。1960年代前半、イライジャ・ムハマッド、マルコム…

チリ 嵐にざわめく民衆の木よ

高橋正明『チリ 嵐にざわめく民衆の木よ』読了。 「軍事独裁の闇と沈黙を裂く’88軍政ノー、’89民主化のうねり。ざわめく民衆の声と姿、揺れ動く南米チリの真相を、丹念な取材とヒューマンな映像で描き出す。」 チリ・嵐にざわめく民衆の木よ作者: 高橋正明,…

沖縄文化論

岡本太郎『沖縄文化論−忘れられた日本人』読了。 岡本が、アメリカ軍政下の沖縄に行ったときの旅行記、が膨らんで文化論っぽくなったもの。沖縄の「何もないこと」に眩暈を感じた、その印象だけを懐に、走り抜けたような文章。 文化論といっても、アカデミッ…

官民協働の文化政策

松本茂章『官民協働の文化政策−人材・資金・場』読了。 芸術創造拠点づくりは自治体が単独で行えるものでなく、担い手たちの登場が必須で、支える場の確保と経営も条件になる。長期取材を通し「文化政策人材」「官民からの資金調達」「場の自主管理」を報告…

世界制作の方法

ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』読了。 「世の中にはいろんな形での世界の説明の仕方があるよね、という話を論理哲学の文脈で展開したもの」と要約するべきだろうか。 物理学でも、美術でも、文学でも、政治でも、世界は語れる。 留意すべきなのは、…

風位

永田和弘『風位』読了。 永田の第8歌集。第38回迢空賞受賞。 著者は、平成23年度京都市文化功労者。河野裕子の夫であり、短歌結社「塔」主宰。細胞生物学で京都大学の名誉教授にもなっている。 幾つかの句集を読むと、詠んだ限りのことだが、短歌が情念の文…

桜森

河野裕子『桜森』読了。 著者の記念碑的第三歌集。第5回現代短歌女流賞受賞。刊行の時に、京都市芸術新人賞。 河野は、日本を代表する歌人であり、平成21年度に京都市文化功労者の表彰を受けた。翌年には没した。亡くなる直前まで歌を詠み、これを家族(家族…

背中の記憶

長島有里枝『背中の記憶』読了。 写真家・長島有里枝、はじめてのエッセイ集。偶然見つけたアンドリュー・ワイエスの描く女性の背中が、大好きだった祖母の記憶を鮮やかに甦らせる。独自の視線と精緻な筆致で綴る、過去の瞬間と家族の肖像。 イメージの、息…

学ぶよろこび

梅原猛『学ぶよろこび−創造と発見−』読了。 学ぶことのおもしろさと夢を実現する生き方、波乱万丈の半生、これから仕上げに入る壮大な夢の作品についてなど、梅原猛の創造の秘密をあますところなく語った知的人生論。 法然からトヨタ創業者まで、各界の成功…

植物記

牧野富太郎『植物記』読了。 万葉に詠まれた草花の真実、可憐に見えて意外な顔を持つスミレ、なかなか見ることのできない竹の花の秘密、真正の彼岸ザクラと近親種の関係、「満州国皇室」の紋章の“蘭”、荒川の桜名所移転案などなど。世界的な植物学者・牧野富…

イエスの生涯

遠藤周作『イエスの生涯』読了。 英雄的でもなく、美しくもなく、人人の誤解と嘲りのなかで死んでいったイエス。裏切られ、見棄てられ、犬の死よりもさらにみじめに斃れたイエス。彼はなぜ十字架の上で殺されなければならなかったのか? 幼くしてカトリック…

ハヅキさんのこと

川上弘美『ハヅキさんのこと』読了。 かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。 四十八歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛――。さりげない日常、男と女の心のふれあいや…

かぶき入門

郡司正勝『かぶき入門』読了。 歌舞伎の美と力、その魅力を解明した碩学による名著。現代演劇との比較を通して歌舞伎の本質をとらえ、古代、中世の芸能など前史にも触れながらがら阿国歌舞伎から江戸の全盛期を経て近代に至るまでの歴史を叙述。劇場の構造、…

演劇入門

平田オリザ『演劇入門』読了。 演劇入門 (講談社現代新書)作者: 平田オリザ出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/10/20メディア: 新書購入: 37人 クリック: 255回この商品を含むブログ (112件) を見る

錯乱のニューヨーク

レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』読了。 錯乱のニューヨーク (ちくま学芸文庫)作者: レムコールハース,Rem Koolhaas,鈴木圭介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/12/01メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 132回この商品を含むブログ (66件) を…

私デザイン

石岡瑛子『私デザイン』読了。 アカデミー賞、カンヌ映画祭芸術貢献賞、グラミー賞、ニューヨーク批評家協会賞等受賞の著者が、世界の巨匠たちとの出会い、衝突、孤独、感動、そして残してきた仕事について自らが綴った、圧倒的な告白の書。 私 デザイン作者…

明かしえぬ共同体

モーリス・ブランショ『明かしえぬ共同体』読了。 共産主義を鼓舞しながら、その裏切りや挫折のうちに潰えていったものは何だったのか?今世紀を貫く政治的文学的体験における「共同体」をめぐる思考を根底から問い直し、「共に存在する」ことの裸形の相に肉…

美術館・動物園・精神科施設

白川昌生『美術館・動物園・精神科施設』読了。 「根源的な破壊と死、そして苦しみ」にみちたこの世界にあって、アーティストのなし得ることは何か?美術館、動物園、精神科施設の内外において「見せ物」にする/されるという関係における「倫理」とは何か?…

路上のエスノグラフィ

吉見俊哉・北田暁大編『路上のエスノグラフィ』読了。 路上のパフォーマーたちは、単に都市空間の日々の変化と交渉しながら活動するばらばらな存在ではない。彼らの活動を、都市とメディアの交わる場所として、そこから生まれる多面的で重層的な営みとして理…

Jラップ以前

後藤明夫『Jラップ以前』読了。 「Jラップ」以前、ラップを歌いブレイクビーツをつなぎ合わせヒップホップを体現していたアーティストたち、いとうせいこう、高木完、ECD等「オールドスクール」の面々の貴重な証言。 1997年8月初版発行。 インタビューを元…