沖縄文化論

 岡本太郎『沖縄文化論−忘れられた日本人』読了。


 岡本が、アメリカ軍政下の沖縄に行ったときの旅行記、が膨らんで文化論っぽくなったもの。沖縄の「何もないこと」に眩暈を感じた、その印象だけを懐に、走り抜けたような文章。


 文化論といっても、アカデミックな論証がなされるわけではもちろんない。意地悪く見れば、感動するぞ、と沖縄に出かけた著者が、無理矢理、眼に入るものに粉をかけたような感はある。エキゾチシズムというか。
 多分、岡本もそのくらいのことは分かっているだろう。それでもなお、このように言い切ることが、ある種の創造者には求められるのかも知れないとは思う。
 

沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)

沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)