官民協働の文化政策
松本茂章『官民協働の文化政策−人材・資金・場』読了。
芸術創造拠点づくりは自治体が単独で行えるものでなく、担い手たちの登場が必須で、支える場の確保と経営も条件になる。長期取材を通し「文化政策人材」「官民からの資金調達」「場の自主管理」を報告。芸術創造をテーマに官民協働の将来像を子細に検討した労作。
著者は、京都芸術センターの成立を修士論文(『芸術創造拠点と自治体文化政策−京都芸術センターの試み−』として刊行)で扱い、全国紙の記者から研究者に転身した方。
事例研究の記述が、いかにもジャーナリズム畑な感じで、面白い。
理論的には、中川幾郎のマトリクス(三つの領域×三つの活動側面×三つの資源)に準じ、これを芸術創造の分野に特化してカスタマイズしてみせる。
中川モデル(及びそれに準ずる著者のモデル)は27の要素を検討することになる。論点を網羅しているとは思うが、実務的には、やや精緻過ぎるとも思う。このレベルの話を、財政担当局や市会に説明し切ることは、極めて困難であろう。
官民協働の文化政策 人材・資金・場 (文化とまちづくり叢書)
- 作者: 松本茂章
- 出版社/メーカー: 水曜社
- 発売日: 2011/04/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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