ノーフューチャー

 藤本由紀夫さんのアトリエに行く。
 三ノ宮の古いビルの一角。お茶とマドレーヌをいただく。


 話は近作のことから、国立国際での展覧会のこと、幽霊や宗教のことへと、とりとめもなく広がっていく。最後には、昨今の社会情勢の話になった。
 曰く「今はNo Futureな感じだけど、この先、これまでとは違う生活の楽しみ方が広まっていくんじゃないか。御飯を食べたり、自分が心底信じられるモノを手元に置いたり。スローライフロハスもその一環でしょ。バブルを経験した世代は、そういうスタイルもパッケージ化して売ろうとするだろうけど、すぐにそれは通じなくなると思う」云々。


 ビルの違う部屋から、フリージャズっぽい音が聞こえる。藤本さんの作品が時々小さな音を立てる。


people_vol.70 藤本由紀夫