レッド・クリフ Part2

 ジョン・ウーレッドクリフ Part2』を観る。


 魏軍と呉蜀連合軍が中国・長江で繰り広げた『三国志演義』最大の決戦“赤壁の戦い”。二千隻の軍船を率いて侵攻してきた曹操軍は、疫病で死んだ自軍の兵士たちの遺体を対岸の連合軍側に流す。それを見た周瑜たちは憤るが、劉備は戦意を喪失し、自国の兵の撤退を決意。呉蜀の間に亀裂が生じてしまう…。


 ジョン・ウーは、「男」を描くことにかけては定評がある。しかし、今作では、最も緊張感のあるシークエンスで、女性が鍵を握る。ウーの、新たな挑戦であろう。
 「乱世の姦雄」たる曹操が、茶事にかまけて機を逸するというのは、赤壁の壮絶なスケールに比せば、あまりに小さいが、その大小の対比が、中国のリアルを感じさせる。


 『三国志演義』は、子供の頃に、岩波少年文庫か何かで読んだ。しかし、本作の主人公、周瑜については詳しく覚えていない。
 彼は、若くして人望に厚く、眉目秀麗、才能にも恵まれているが、曹操のようには、インパクトを与えない。周瑜はあくまで二世君主に仕える軍人であり、諸葛亮という奇才に翻弄される役回りであった。彼は、個人ではなく、国に殉じた義の人であったと言える。
 しかし、このことは、ジョン・ウーというハリウッドを通過した中国人のことに思いを馳せれば、しくと心に染むのである。