あたしちゃん、行く先を言って

 地点『あたしちゃん、行く先を言って』を観る。


 代表作『小町風伝』や『水の駅』において、沈黙劇という演劇の新しい境地を見出した劇作家・演出家、太田省吾。太田省吾の残した言葉により構成した、地点の最新作。


 地点の公演は過去に二度観た。びわこホールで『かもめ』を、アトリエ劇研で『桜の園』を。


 今回の舞台では、観客のぐるりを取り巻いて、階段状のステージが用意されている。各段には土が敷かれ、登場人物はその上をゆっくりと行進する。それぞれに何かを語る。劇場の三辺、四分の三を歩いた彼らは、客席に分け入り、叫ぶ。時に激しい、際立った動きを見せ、土の上に倒れこむ。
 が、それらの意味は、決して明瞭ではない。
 演劇に明るくないので、太田省吾のことを知らない。彼を取り巻く、文脈のことを知らない。


 地点の役者たちは、いつも卓越したスキルを示す。クリアな動き、息の使い方、声の響き。それらは確実にコントロールされ、それだけで、既に驚きを生み出す。


 http://www.chiten.org/index.htm