人と場のネットワーク

 京都芸術センター開設10周年記念シンポジウムへ行く。


 テーマは「人と場のネットワーク」。
 YCAMの会田大也、高知女子大学教授の松本茂章を迎えてディスカッションが行われた。進行はセンター運営委員の小林昌廣。


 議論は、ネットワークというところから、公的文化施設の理論的根拠まで、点々と転がる。文化行政に興味を持つ者として、またセンターの担当者として、大いに楽しい内容であった。


 会田さんは、YCAMの教育普及担当チーフという仕事柄、YCAMの活動を人々にどのように理解してもらうかということに心を砕いておられた。メディアアートの専門家、行政の担当者、市会議員、まちの人々、観光客。その一々に、様々なやり方で、ときには相当な時間をかけて取り組むのだという。「教育普及が必要なくなり、僕が職を失うような事態が理想的だ。」と彼は語る。
 松本さんは、元新聞記者で、社会部での経験が長いそうだ。京都芸術センターを取り上げた論文で研究者に転じ、今は高知と京都を行き来しながら、各地の文化行政、文化によるまちづくりを調査しておられる。「芸術センターのような施設が出来ることで周囲の不動産価値は確実に高まる。そのこと一つをとっても、文化行政の価値を議会に説明することはできるのではないか。」という話が印象的。