ホイットニー

 ホイットニー美術館へ行く。


 グレン・ライゴン「AMERICA」展。
 たまたまスタッフによる解説ツアーと歩を揃えて観ることになったのだが、この解説が素晴らしい。歴史と理論と、個人的な印象とを、クリアに、しかし有機的に結び付けて語る。予備知識がなくても、作品に向き合う気を起こさせる。
 作家は1960年生まれの黒人ニューヨーカー。キャリアが熟してきたところでの回顧展というところか。


 「Singular Visions」と題したコレクション展も見事。適度な広さの空間に、余裕を持って作品が配される。現代美術の提示の方法として、一つの洗練に至っているように思う。


 ホイットニーは、メトロポリタンやMoMAと比べると、小さな美術館である。節度のある空間に、洗練された企画展と、素敵なカフェ、ミュージアムショップが用意され、マルセル・ブロイヤーの美しい建築を堪能できる。ミュージアムというものの、最良の雛形の一つとして見られるべきであろう。


 Whitney Museum of American Art