堂島リバービエンナーレ

 堂島リバービエンナーレへ行く。


 テーマは「Ecosophia−アートと建築」。


 区切りのないスペースに作品が居並んでおり、手前側にアニッシュ・カプーアの模型が数十点、ざっと展開されているので、物産展的な感じを受ける。


 個々の作品には見るべきものも多い。
 東日本大震災に言及した作品が多い。当たり前のように。


 青山悟のバラ。
 黒いジャージ地に、工業用ミシンでバラの花を刺繍したものだ。工芸的な「美しさ」を感じ取ってしまうことへの一瞬のためらいを自分の中に見出し、複雑な気持ちになる。


 新津保建秀渋谷慶一郎、浅子佳英「Namie0420」。
 床に置かれたモニタを覗き込むように見る。どうということもない町の風景が映されている。人は誰もおらず、ただ信号が点滅している。どうということもないが、明らかに不穏である。
 解説には福島第一原発により無人になったエリアの映像だとある。
 モニタ上には斜めに鏡が置かれてあり、正面から見ると、ちょうどその映像を正視するような形になる。この作品にとっては、鏡に映った映像こそが「正」なのである。そこには、過去や、リフレクションや、我々がそこに含まれるのだという様々な意味が読み取られる。
 それは措くとしても、不穏さを、多くの人はこの作品から感じるのではないか。それで十分な気もする。


 カプーアの模型こそが、もっとも見るべきものであったようにも思う。
 これは作品構想のためのエスキースに過ぎないのであり、工作の精度も様々なのだが、いずれも、極めてビビッドにイメージを伝える。すごい。


 マーティン・クリード「ライトが点いたり消えたり」。
 展示室の電灯が五秒ごとに点滅するという作品。