大阪

 大阪へ行く。


 京都に30年程暮らしているが、大阪に詳しくない。あまり行ったことがないと言うと、時々怒られることがある。京都人が大阪蔑視をしているという文脈に読まれることもある。好奇心の欠如と見られることもある。 
 今日は鶴橋に行った。
 噂に聞いていたが、確かに相当インパクトは強い。入り組んだ(と初めて訪れた者には思われる)市場の中に、チヂミや韓国の衣服を商う店が居並んでいる。精肉店には大きなレバーや、どこの部位か見当がつかない臓物も並んでいる。


 アートコート・ギャラリー「村上三郎展−70年代を中心に−」へ行く。
 村上三郎は、50年代半ばから「具体美術協会」の主要メンバーとして活躍した美術家。「紙破り」で知られる。と言うか、僕はそれ以外は知らなかった。
 展示は、71年から77年に行われた7回の個展に焦点を当て、作家直筆のメモやノート、当時の写真も含めて構成されたもの。前に京都市美の安河内さんと「展覧会は消えていってしまうよね」ということを少し話していたのだが、こういう形で改めて立ち現れることは素晴らしいことだと思う。40年前のこと、作家の思考や手癖がとてもビビッドに感じられる。
 http://www.artcourtgallery.com/images/exhibition/2011/exhibition_2011_1112_murakami.html


 北加賀屋へ行く。
 名村造船所跡地「後藤靖香展」を見て、コーポ北加賀屋へ。
 すごいロケーション。どっぷりとした余白のある。
 CCO クリエイティブセンター大阪
 コーポ北加賀屋
 淀屋橋まで、たまたま高嶺格さんと一緒になる。妻が対人コミュニケーションの不出来に沈み込んでいたところで、話し相手をしていただけたのはとてもありがたかった。


 なにわ橋駅・アートエリアB1へ行く。
 山川冬樹伊藤キムのパフォーマンス。
 地下駐輪場の奥をいっぱいに使った作品で、観客は壁にぐるりと張り付いて観る。山崎さん曰く「贅沢な空間」。電球が明滅する中を山川が走り回る。彼のしなやかな身体が物のごたごたする暗闇を走り回り、跳ぶのは、何と言うか、ドキドキする。
 中村裕太君や、読売新聞の今岡君に会う。
 http://artarea-b1.jp/index.html


 後藤展、山川キムのパフォーマンスは、大阪府「おおさかカンヴァス推進事業」の一環として位置付けられている。
 大阪の文化行政は最低だということを仄聞するが、面白い要素もあると思う。フェスティバルゲートの失敗、府現代美術センターや市近代美術館の迷走、橋本府政での一連の整理など、印象の悪さには事欠かないが、見るべきものだってあると思う。