球の内側
高嶺格「ジャパン・シンドローム 〜step2.“球の内側”」を観る。
昨年の展示は、率直に申し上げると、今一つ手探りの途中という感があった。が、今回はさすがの出来。素晴らしい。
まず空間構成に驚く。
芸術センターの講堂に、ブルーシートを膨らませたような構造物が据えられ、観客は小さな入り口から一人ずつ這って入る。
天井の明かりがぼうと透けて見える。
公演の後半、その構造物がぐにゃぐにゃと動き始め、また驚く。
パフォーマーが構造物の上部に乗っかりまろぶことで、観客も巻き込んで、カオティックな状況が現れる。
やがて、そのブルーシート(当初天井だったと思われる部分)が壁になり、空間が二分される。観客は誘導され、空間の向こう側にいる観客、見えない相手の手をまさぐる。壁が引き上げられ、相手を数分にわたり見詰める。