ロマンザ/陰謀論

 ロマンザへ、髪を切りにいく。
 ロマンザの松山さんとのお決まりの話題は、映画、本、それに政治と経済のことだ。ことに、この数年、松山さんは陰謀論の虜である。副島隆彦をはじめ“暴き系”論客の著書を渉猟している。
 たとえば、ある論客は「地震発生装置が既に実現されており、政治的、経済的に利用されている」としているのだそうだ。
 曰く「バブル後、追い討ちをかけるように阪神大震災が起こり、関西経済が沈没したことは記憶に新しい。その影響でシンガポールの金融界で大手金融会社が破綻した。その会社はロスチャイルド家の系列であった。実はそれは、地震発生装置を用いた、ロックフェラーによるロスチャイルドへの攻撃であったのだ!今、金融ショックとそれに伴う円高で、トヨタが大ダメージを受けている。もしかすると、この後、東海地震が起こるかもしれない。その影響は、資本の連鎖によって、ロスチャイルド家とロックフェラー家、いずれかに大きなダメージを与えるであろう。云々」
 はっきり言ってとんでもない話である。とんでもない話ではあるが、そのような語りを引き起こす欲望の種が世界には蒔かれているのであろうし、それが京都の美容室で花開いたからといって、おかしくはなかろう。
 金を買ったんだよ、今年の末には倍の値がついているよ、と話す松山さんに、僕はユーロを買いました、今年中に北朝鮮が倒れ、次いでアメリカが倒れますからね、と応酬する。月に一度、そのような楽しみがあるのも悪くない。