マイアミのこと

 高田馬場で、友人に会う。


 かつて僕が母校を案内したように、友人は彼の母校・早稲田大学を案内してくれた。一つ一つを指差し、あれはかつてこうであった、これは変わらない、こんなものが出来たのか、と驚きの声を上げる。その全てを理解できるはずもないが、しかし、友人がそのように声を上げることは楽しいことだ。


 裏通りの小さな鰻屋で鰻丼を食べる。
 友人は、仕事の都合でマイアミに住んで一年になる。ざっと街の様子を説明した後で、彼は、マイアミへ行くことは勧められない、と言った。美しくはないし、特に見るべきところもない、住む土地に愛情をもてないのは悲しいことだ、と彼は言う。


 我々は、会う度に、我々の将来のことを語り合う。どのように自分の能力を発揮し、可能性を洗練させ、人生を築いていくか。彼のエッジな語り口は、いつも僕を高揚させる。それは彼の特質だと思う。