ビートたけしと団塊アナキズム

 神辺四郎『ビートたけし団塊アナキズム』読了。


 著者は、団塊の世代の特質について次のように記す。
 「権力クソくらえ、国家が何だ、党派も組織もごめんだ、規範も規約もいらない、自分が自由であればそれでいい、その“自分”だけが主人公となる世界−。
 すなわち「アナキズム」である。」
 これは、アナキズムではない。個人主義でもない。
 本書は学術的正確さを期したものではないだろう。とは言え、論の核心にブレがあったのでは、他も推して知るべしである。


 ビートたけしについては、特段の知見を持たないので何とも言えない。


 本書の中で唯一、了解できたのは、団塊の世代に近しい者の一人であるところの著者が、団塊の世代についてどのような認識をしているか、ということであった。世代論というのは、往々にして自己分析から始まるように思う。半ば著者の自省とも思える幾つかの記述は、その点で、興味深いものであった。

ビートたけしと「団塊」アナキズム (集英社新書)

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