在日の恋人

 高嶺格『在日の恋人』読了。


 高嶺さんの第一印象は、真摯な人、というものだった。一生懸命に物事を考え、それを作品にしている。その分、彼はときに口ごもる。悩みや逡巡を隠そうともしない。しかして彼の仕事はいつも強く人の心を打つ。
 本書でも、その印象は変わらない。


 僕が高嶺さんに会ったのは二〇〇七年の秋だった。彼がここに記していることの多くは、それよりも少し前のことだ。高嶺さんがこのような思考や経験を通過して、僕の前に現れていたのだと思うと、何となく不思議なことのように感じる。

在日の恋人

在日の恋人