日本の難点

 宮台真司『日本の難点』読了。


 最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の三段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」。


 僕にとって、八十年代を代表する知識人は浅田彰であり、九十年代のそれは宮台真司であった。
 これまで宮台を事細かにフォローしてきたわけではないが、彼の論理(とりわけルーマンらのシステム理論)や幾つかの仕事には親しんできたし、彼の文章をいつ読んでも、論旨の是非はともかく、そのクリアネスには満足させられてきた。


 僕は本屋に週三で通い続けているが、近年の大きなトピックの一つに、徹底的に新書が面白く見えなくなった、というものがある(実際に面白くないかどうかは知らない)。本作は意外にも、彼の初の新書だという。宮台も新書ブームの残滓に絡め取られたのかといううんざりした感覚の中、なお、立ち読みからレジに直行させる力が本作にはあった。
 読んで納得。近いうちに読み直したくなる、誘引の力もある。


 (余談だが、本屋トピックとしては、勝間和代の登場の仕方も興味深い。と思っていたら勝間現象分析本が登場した。やはり妙な違和感を感じる人は相当数いるのだろう。)


日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)