このところの出来事

 名古屋、伊丹、大阪に行き、また大文字を眺める。


 出産と育児のことを思うだけで気が遠くなるが、新たに揃える物も多く、ぼんやりとはしていられない。新しい家を決め、引越しの手続きをし、諸事をパタパタとこなす。これから家の中がダンボールだらけになり、普段のように道具を用いられぬ日々が続くのかと思うと、また、住所が変わり慣れぬ近所で毎朝朝日を浴びるのかと思うと、落ち着かない。
 思いがけず大きくなっていく支出にも気が滅入る。自分の身を処せば足りたことが、共稼ぎのどちらかが倒れでもすればたちまち余裕のない家計を回すような、そのようなことになり、鬱とする。


 夏に入り、職場は気の抜けたような態だ。秋になれば少しは気張ったことになろうと思うが、当面、小粒な仕事を殊更丁寧にやるような気にもならぬ。


 八月末の展覧会に向け無理を重ねていた妻がとうとう床に伏すことになった。互いにピリピリとし、気遣いの言葉をかけるところで、独りよがりの嫌味な詰問の調子が先に立つ。