相対主義の極北
入不二基義『相対主義の極北』読了。
すべては相対的で、唯一絶対の真理や正しさはない―この相対主義の論理を相対主義自身にも適用し、極限まで追いかける。その最果ての地で、どのような風景が目撃されるのか?
中学の頃、同級生に、「でもそれはお前の考えだろう」と言われ、はたと困ったことがある。確かに、それは僕の考えでしかなく、それを彼と共有する道理はない。それは絶対無二の真理ではない…。以来、それは昇華し切れぬ厄介な出来事として、折に触れ、思い出されることになるのだが、本書は、そのような道行きに一つの落とし前をつけてくれる。
かきかけ
『相対主義の…』は極めて読み易い。本格的な哲学書だと思うが、論理の曇るようなところは一箇所もない。無駄なもののない、一点もゆるがせにしない、レンガを積み上げるような文章である。これはもう、驚くべきものである。
油断していたが、思わぬところで古典と呼ぶべき書物に出会った。
- 作者: 入不二基義
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/01/07
- メディア: 文庫
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