赤ちゃん教育

 野崎歓赤ちゃん教育』読了。


 乗り物をこよなく愛するわが子が、将来、親の無免許であることを知ったらどうなるかと落ち込みつつ、大詩人、マラルメだってわが子の誕生にびびっていたではないか!と己を鼓舞する仏文学者。「子の誕生」という、誰もがあわてふためく瞬間を、自らの育児体験や偉人たちの例と共に描く。


 僕がこれまでに自覚的に読んだ“子育てもの”は、内田春菊『私たちは繁殖している』、松田道雄『育児の百科』、そして本書だ。随分偏っているような気もするが、いずれも自分で求めたものではないのだから仕方あるまい。
 『赤ちゃん教育』には、内田の、手負いの母親猫のような強烈さも、松田の着実さもないが、僕には合っている様に思う。適度にクールで、好ましい。


赤ちゃん教育 (講談社文庫 の 14-1)

赤ちゃん教育 (講談社文庫 の 14-1)