育児休業

 今日から、8月末まで育児休業である。
 大概家にいるので、皆さん、是非遊びに来てください。


 育児休業を取るという話をすると、わりと人によって反応が違う。
 驚き怪しむ方に会うと、育児休業の普及率を思い出す。(配偶者が出産した男性のうちで)0.5%くらい。200人に1人というのが、多いのか少ないのかよく分からぬ。
 京都府の知人からは、穏やかに丁寧にお過ごしください、というありがたいお言葉をいただいた。定年を迎える者への餞別の言葉のようだが、丁寧に、というところが、少しニュアンスが違う。


 元々そのつもりだったので、育児休業の取得は、個人的にはごく自然な流れだ。妊娠が分かった頃の一悶着が寄与しているとは言え、これは計画の範疇と言える。
 振り返ると、育児休業期間というのは、これまでの我が人生で最も自由な時間の一つであると言える。成すべきことは娘のごく自然で健康な成育のため、ハイフェッツビリー・ホリデイをお聴きいただいたり、レザーの手触りや珈琲の香ばしさを経験していただくことくらいである。それだけに集中して、あとのことは忘れられる。彼女が寝ているときには、本を読んだり、外を眺めたりできる。日々の生活に困っているわけでも、将来について思い悩むわけでもない。
 少しずつ暖かくなる。桜が咲き、やがて蝉が鳴くだろう。娘は汗を流し、初めての夏を知る。
 自由で、満ちたことである。