美術品等の収集保管

 事業仕分けで「美術品等の収集保管事業」が“拡充”とされた。
 一連の事業仕分けでは初めてのことだ。


 まずは単純に結論を喜びたい。


 が、拡充と言っても、その財源は自分で何とかすること、という条件付だ。それはそもそも独立行政法人の趣旨の一つであるのだから、実質的には“現状維持”であろう。科学技術等に関する幾つかの仕分けで批判を受けた経緯もあり、一種のガス抜きではないかという穿った見方もできなくはない。


 今回、初めて事業仕分けの映像をゆっくり見た。
 最初に「文化的に貧しい国にはしたくない」「国の財政は厳しい状況にある」ということを場の共通認識として確認し、借入金による美術品購入を提案する手際は、与えられたフォーマットの中では、評価され得る展開であったと思う。
 しかし、これほどの短時間で数億規模の事業が仕分けされるのかと思うと、少し空恐ろしい気にもなる。もちろん、事前に資料に目を通し、ある程度の判断をしての上での議論であろうとは思うが、それにしても。


 普段、市会答弁のために資料を作っている身としては、回答者の後ろに控える事務方のもどかしさのようなものが判る気がする。回答者では歯切れの悪いことしか言えぬ質問(たとえば、文化財と美術品の違いについての法的な基準)も、彼らなら簡潔に説明できるだろう。


 http://www.shiwake.go.jp/shiwake/detail/2010-04-26.html