死なないための葬送

 国立国際美術館「死なないための葬送─荒川修作初期作品展」を観る。


 「1961年12月にニューヨークに渡る荒川修作は、渡米以前に棺桶型の立体作品を多く制作しました。木箱の中には、木屑を包んだ布の上に横たわる不気味な形状をしたセメントの塊。死という宿命を反転させようとする荒川が見つめた死がそこにあります。2007年には、それまで行方不明だった大型作品3点の修復が完了しました。本展では、それら3作品の大阪での初公開を含め、1958年から渡米直前にかけて制作された20点の初期立体作品が全国の美術館から集まります。」とのこと。


 同時開催のルノワール展の賑わいに比べ、会場は森閑としている。


 初期の“棺桶”について、生と死、あるいはエロスとタナトスが、混迷のまま提示されている、という評がある。妥当かどうかはよく分からない。
 僕には、そのテクスチャが、たいそう気持ち悪くみえる。気持ち悪く見えるのに、しかし見ずにはいられない。ただ、そのような斥力と引力を感じる。


 キャプション中、荒川さんの没年が記載されていて、あれ?、と思ったのだが、5月19日に亡くなられたのだった。


 荒川修作+マドリン・ギンズ – ARAKAWA + GINS Tokyo Office