外を入れる。

 英ゆう「外を入れる。」展を観る。


 英裕。一九七三年、京都府生まれ。京都市立芸術大学大学院修了。京都市芸術文化特別奨励制度の奨励者。
 彼女は、十年近く日本とタイを行き来し、バンコクの供花や伝説をモチーフにしてきた。近年は、描く対象の大小を逆転したり、だまし絵のような錯覚的なイメージを多く集めて描いている。


 今回、作家が選んだ、「外を入れる。」というテーマには必然性があるように思う。それは、日本においてタイを描く、その帰結としての、彼女なりの言葉であろう。
 プレゼンテーションも、もちろん作品自体にも見るべき点があったと思う。湿気、陽光、風。それらの肌触りが、ぬたっとした奇妙な画面の中に感じられる。


 会場は、京都芸術センター、七十八畳敷きの大広間。英の作品自体には街場の雑踏のようなザワつきがあったと思うが、会場にその雰囲気が満ちているというわけではなかった。その意味で「外」が入っていたかどうか、疑問も感じる。


 http://www.kac.or.jp/bi/329