魚神

 千早茜『魚神』読了


 生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて、政府によって造られた一大遊郭があった。捨て子の姉妹、白亜とスケキヨ。白亜は郭に売られ、スケキヨは薬師として暗躍している。美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そしてあく会う。ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が…。


 著者は、一九七九年北海道生まれ。小学生時代をザンビアで過ごし、今は京都に在住だという。
 これほどの筆力の新人を久しぶりに見た。書店で立ち読んだ数行で、明らかな完成が伺われた。物語自体を気に入るかどうかは別として(僕は気に入ったが)、彼女が秀でた書き手であることは疑えないだろう。

魚神

魚神