碧南へ

 愛知県碧南市へ行く。


 最初の目的地は、碧南市哲学たいけん村無我苑。
 碧南には、伊藤証信という市ゆかりの哲学者がいるらしい。明治から昭和にかけての人物で、彼の地でカントを説き、無我愛の思想を学問的に位置付けようとしたそうだ。で、無我苑は、伊藤を記念して建設された。名誉村長は梅原猛
 同苑は、市立の施設である。HPには「静かな環境に身をおいて心を落ち着かせ心の安らぎを得るとともに、みずからを振り返って考え明日への活力を起こしていただくことを意図しています。」とある。施設内には、瞑想室や、花の映像と環境音楽が流れるリラクゼーションルームがあり、その名称も含め、市の施設とはにわかには信じられない程のニューエイジ感が漂う。各地に様々な公立文化施設があるだろうが、明らかに異質である。規模や注目度はともかく、比較できるのは養老天命反転地くらいではないだろうか。
 知人が企画展をやるというので出向いたのだが、そして作品には幾つか見るべきところもあったのだが、施設のインパクトはそれを優に超える。


 道中、車でフェンスに突っ込む。おお。


 その後、碧南市藤井達吉現代美術館へ行く。
 企画展は「大浜てらまち」。HPには「碧南市大浜地区は昔ながらのまち並みを残していますが、これは多くの寺院がこの地域に密集していることが大きな要因となっています。何故これほどの寺院がこの地域にあるのか、これを市内外の様々な資料により年代を追ってご紹介し、大浜のまちと寺院の変遷をたどります。」とある。展示物には興味深いものもあるが、テーマが恐ろしくローカル。
 二〇〇八年の同美術館の開館に当たっては、オープン直前に運営費を巡って市議会が反発し、予算案が否決された。前市長と議会との遺恨が影響したものだそうで、折からの金融危機の流れもあって、日本一不幸な美術館と称された。
 建物は旧商工会議所を改築したもので、小粒だが、なかなか格好よい。


 哲学たいけん村無我苑/碧南市
 藤井達吉現代美術館/碧南市