有毒少女

 VOICE GALLERY pfs/w 「マリアーノ・チン Strange Days 展」を観る。
 と言うよりは、オーナーの松尾さんとお話をする。


 VOICE GALLERY は、八月、「有毒女子通信」なる新聞を発刊された。編集長は京都大学の吉岡先生。定価は二百円。


 この時世に新しく紙メディアを世に問う。そのベースには、批評が京都にない、という問題意識がある。“ブログでの感想は幾つかあるが、改変のしにくい、きちんと責任を負った批評は、紙媒体でないとできない。”と松尾さんは言う。


 同紙は、タイトルが示すとおり、アート界における女性のことを扱っている。
 一般社会でそうであるように、現代美術の世界でも、女性であることはハンデになり得る。優秀な作家が、結婚、出産を経て、制作から離れていくことはよくある。さもなくば、彼女たちは、女性であることをどこかで諦めるしかない。
 “私の中身は、半分男なのよ”と松尾さんは笑う。
 そのような事情を、改めてきちんと指し示すことも、「有毒女子通信」の大きな役割とされている。


 育児休業を経た身としては、「通信」の中で、女性であることと女性性が区別されていることには注目しておきたい。女子力を使いこなす男子、というものが想定されており、女性性の効用が、それ単独として指摘されている。
 女性は、女性であるというだけで、常に、即座に意味を持つわけではない。(もちろん、その意味付けが、しばしば、即座に生じてしまうところに問題はあるわけだが。)


 VOICE GALLERY pfs/w