シンガポール・レポート3

シンガポール2日目。
1月だが、シンガポールは赤道直下で暑い。概ね日本の夏と大差ないと思ってよい。






[STPI (Singapore Tyler Print Institute)]
住所: 41 Robertson Quay, Singapore 238236
開場時間: 月〜金:10:00〜19:00 土:9:00〜18:00 日・祝日休
http://www.stpi.com.sg/index.htm


2002年に設立された、版画と紙の工房&ギャラリー。
ニューヨークのTyler Graphics Ltd.を継承する、アジア有数の工房として、世界的に知られているようだ。
滞在施設が付属していて、アーティスト・イン・レジデンスを実施しており、リクリット・ティラヴァーニャ、大竹伸朗、アンリ・サラ、ヘリ・ドノ、束芋、ス・ドホ、ライアン・ガンダー、金氏徹平ら、多くの著名作家が参加している。





スペースは全体で4,000平米。スタジオや、滞在施設、400平米のギャラリーを含んでいる。
普段は工房は一般公開されていない。


スタッフには、チーフ・プリンターの小川栄太郎さんをはじめ、何人か日本人もおられるようだ。
https://www.asiax.biz/kira/37181/






訪問時は、ちょうどアマンダ・ヘンの個展が始まったところだった。
ヘンは、日本でも福岡アジア美術館ほか各地で紹介されており、よく知られている。≪もうひとりの女≫や≪おしゃべりしましょう≫等の作品が代表的で、リレーショナル・アートの文脈でも重要な作家だと思う。
ナショナル・ギャラリー・シンガポールの、19世紀から現代までの美術を紹介する「Between Declarations and Dreams」展でも、最後のパートで取り上げられており、シンガポールのみならず東南アジアを代表するアーティストの一人と目されているのだろう。








[ギルマンバラックス(Gillman Barracks)]
住所: 9 Lock Road, Singapore 108937
開場時間: 施設により異なる。(大体月曜日は休み)
https://www.gillmanbarracks.com/


シンガポールの南西部、6.4ヘクタールの旧英国植民地時代の軍用地跡が、アート・ゾーンとして整備され、2012年9月にオープンした。
シンガポール経済開発庁、JTCコーポレーション及びナショナル・アーツカウンシルが、共同で、約1,000万S$をかけた一大プロジェクトであった。
12のギャラリーと、南洋理工大学(NTU)現代美術センター(CCA)、複数の飲食店やレジデンス施設等が点在する。





シンガポール・アート・ウィークの直前で、インストール中のギャラリーが多い。
OTA FAINE ARTSでは、樫木知子、さわひらきら4人の作家のグループ展「Landscapes」が準備中。
タイミングが悪過ぎた…。


敷地はなかなか広く、炎天下の移動で疲れる。
行く前は「何故わざわざアイスクリームの専門店があるんだ?」と思っていたが、確かにアイスが食べたくなる。






NTU CCA。Ute Meta Bauerがディレクターを務める。


Nanyang Technological University(NTU)は、1991年に設置された国立大学。
シンガポール国立大学と並び、シンガポールの名門大学とされている。
理工大学という名称だが、四つあるカレッジのうちの一つに「College of Humanities, Arts, and Social Sciences」があり、その下に、日本の学部に相当する組織として「The School of Art, Design and Media」がある。


Ute Meta BauerはCCAの創設ディレクター。
マサチューセッツ工科大学准教授のほか、第3回ベルリン・ビエンナーレのディレクター、ドクメンタ11の共同キュレーター等を務めている。
PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015のプロフェッショナルアドバイザリーボードメンバーの1人でもあった。





訪問時には「Incomplete Urbanism: Attempts of Critical Spatial Practice」展を開催中だった。


William S.W. Limの、「(都市における)空間というものは、参加と媒介を促すために生み出される」という考えに呼応する展示だそうだ。
建築や都市計画に興味がある方には楽しい展覧会だと思う。